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白い夢

時計の針は4時15分を指していた。
今日は眠りが浅い。
うっすらと明るい天井に見慣れないプロペラが、不規則に回っている。
……ここはどこだったっけ。
まだ眠りに半分捕らわれたままの白んだ頭で思いをめぐらせる。
寝返りを打つ音が聞こえてそちらに目を遣ると
となりのベッドで安らかに寝息をたてている友人がいた。

そうだ。わたしは彼女と南の島に来ている。
とてつもない幸福感が胸に広がる。
そういえば、さっきからなんとなく花の香りを感じていた。

彼女が起きたら、何処に行こうか。
まずは浜辺を散歩。
飽きるほどショッピングをしてもいいし
昼間からシャンパンを開けてもいい。
熱帯魚がみれる場所にもいってみたい。


もうすこしだけ眠ろう。
目が覚めたら、海の見えるラナイでたっぷりのサラダと大きなパンを食べながら
今日一日のことを、そして永遠にも思えるわたしたちの夏休みのことを、
相談しよう。
プロペラの回る微かな音を聞きながら
わたしは静かに目を閉じた。




フォトCDブック「Renon nicola」に寄稿したものを加筆修正しました
こちらは素材ではありませんので脚本としての使用は出来ません。